Apple TVファーストインプレッション

開梱の儀とかは余所さんでされてるので、主にPC内コンテンツを再生してみて感じた点などをいくつかレビューしてみる。

そもそもApple TVとは?

極論すれば、「固定型iPad」かなと。中身も「iPadそっくり」とiFixitも言ってますし。

使い道としては、

  • PC内コンテンツをテレビで再生
  • 無料でYoutube/Flickrのオンラインコンテンツをテレビで再生
  • 有料でビデオレンタル

という選択肢があります。

が、どれをするにしても、iTunesがなければ使い物になりません(百歩譲ってiPhone/iPad/iPod Touchのいずれかでも可)。ケーブルテレビのセットトップボックスのようにそれ単体で全部できる、というものではありません。Youtubeの再生ぐらいなら、頑張ればできなくはないですが…。

あと、音声出力が光端子しかないので、例えば枕元にapple TVと普通のスピーカーを置いて…というような使い方はしにくいです。光端子付きのスピーカー、例えばこれとかこれとかこれとかをおすすめします。

PC内コンテンツの再生について

PC内のコンテンツを再生するには、二通りの方法があります。

apple TVを「Airtunesのスピーカーの一つ」として扱う

Remoteアプリを使う、というのがこの方法です。母艦のiTunesからは、apple TVは単なるスピーカーの一つとして認識されるため、コンテンツの再生自体は母艦のiTunes側で行われ、そのデータをapple TVに横流しする形になります。

「ホームシェアリング」を使ってiTunesデータベース内のコンテンツをapple TVから参照する

apple TV側から母艦のiTunesデータベースを参照し、直接apple TV側で再生を行うことができますが、iTunes Storeアカウントが必要となります。リモコンでの操作も可能となるため、便利と言えば便利ですが、初回のホームシェアリングの登録が面倒くさいです(Wii式の文字入力のため)。

解像度とか

再生環境はフルHDを謳うAQUOS、1920x1080。対してapple TVは720pまでしか対応を謳っておらず、かつスペック上はH.264/AVCのみ対応するようです。が、起動時の画面とか、システム画面は意外と綺麗で、ジャギーの乗るようなことはありませんでした。

ところが、当然といえば当然ですが、youtubeの380p/420p程度の動画だとやはり酷い。アナログテレビを見ているような感覚ですね。

で、HDレンタルに "The Matrix Reloaded" があったので興味本位でプレビューを見てみたところ、冒頭2分程度が再生されたのですが、最初のトリニティーが警備小屋にバイクで突っ込むシーン、爆発でできた炎のブロックノイズがもう凄いこと凄いこと。iTunes Storeで見れる予告編をもう少しだけ画質悪くした感じ。普段映画をそこまでシビアに見ることはないですし、それでもDVD画質よりは良いので…。ただ、近所のツタヤでBDの旧作が一週間100円でレンタルできるので、ちょっと残念感がありますね。。。

多少予想はしていましたが、Youtubeで1080p対応が始まった頃のような、おおっ、と目を見はるほどのインパクトはなく、微妙にぼけた、のぺーっとした感じの画像になります。最近のテレビだと32型以下では1366x768のなんちゃってHDなものもあるので、そういう場合だとそこまで画質の荒さは気にならないかもですが、最近見かけない1440x1080なパネルでも、たぶん1920x1080のフルHDと同じくらい気にする人は気にするかも。

PS3/Xboxとの兼ね合い

正直に言うと、PS3/Xboxユーザーだったらわざわざ買う必要はないと思います。

ただ、そもそもターゲットセグメントというか、商品のカテゴリや設計思想がPS3apple TVではかなり違うのではないかと思うのですよ。実家にはBD/DVD再生用でPS3を置いているのですが、あれはやはり1080p環境をフルに使い倒すためのものであって、わざわざDVDのアップコンバーターを内蔵していたり、コンテンツ再生中のスクリーンセーバーXMBといったUIも洗練されていて、まともな環境で使うなら、DLNA対応BDメディアプレーヤーとしては非常に優秀なモノなのですね。正直オーバスペックではないかと思うところも無くはないですが。もちろん、起動の遅さや、メディアプレーヤーとして使うにはやや不格好なコントローラー、消費電力の多さと発熱の問題、そして何よりapple TVと比較すると随分高い、といったハンデもありますが、概していかに最高の環境で最高の絵を出すか、という非常にわかりやすい目標があるわけです。

一方、apple TVはというと、ノーストレージ、低消費電力、高速起動、かつ安いけれども、画質とユーザビリティは我慢してね*1、そうそう、appleの管理下からは出られないからね、という代物であって、PS3のアプローチとは逆のものなので、そもそもマーケットとして競合しないのではないかなと。で、いくらapple TVがオンラインでレンタルができるとはいえ、ちょっと画質のことを考えると、折角フルHDのテレビがあるのに、なぜ微妙に中途半端な画質のものしか見れないのかという疑問が心によぎってしまうのです。

ぶっちゃけ買いか否か

もう既に買ってしまった人間が言うのも何ですが、

という方は買えばいいんじゃないかなと。1万円もしないので、そこまで失敗したなぁ…という後悔はしないと思う。そうそう、HDMIケーブルは同梱されていないので、無いなら買いましょう

逆に、上記のどれか一つでも当てはまらなければ買わない方が無難。ネットレンタルとか、Youtubeとかは見れないけど、PCコンテンツを再生したいだけならPS3を買った方がたぶん幸せになれると思います。

例えば、朝出勤前の数十分の間に、ざっとpodcastを見るという使い方ならapple TVの方が使い勝手はいいでしょうし、逆に帰宅後ゆっくり映画を見たい、というのであればPS3の方が適しているでしょう。使い分け、というと語弊があるかも知れませんが、適材適所に使えばいいんじゃないかなと思います。

*1:音楽再生中のスクリーンセーバーのセンスの悪さと言ったら…。